物流改善がCO₂削減に貢献

物流改善がCO₂削減に貢献

物流業務は、これまで効率化やコスト削減の観点で語られることが多かった。しかし現在は、安定供給を支える重要な機能であるとともに、環境負荷低減にも貢献する取り組みとして注目されている。東レエンジニアリング㈱グループ(以下TRENG)では、その物流改善を通じてサステナビリティにも貢献している。

ムダを排除し、環境に貢献

TRENGメカトロファインテック事業本部業務統括部ロジスティックスチームと調達部門調達部物流課による、東レエンジニアリングDソリューションズ(株)(以下TRENGD)製水質分析計の出荷方法の「JITBOX」※1への変更もその一つになる。水質分析計はそれまでチャーター便を使用していた。据え付け工事の日程に合わせやすく、事前にドライバー情報も分かるため、急な変更に対応できるというメリットがあったからだ。
しかし、水質分析計1台に、4㌧トラック1台では積載効率が低く、ムダが大きい。そこで出荷方法の変更を検討する。混載便では、破損防止および荷役上の理由から梱包が必須となる。一方、水質分析計は、客先での開梱作業を省き、本体底部に標準装備されたキャスターを使用して、フォークリフトを使わずそのまま移動できるよう、未梱包納品を前提としている。そのため、未梱包貨物の取り扱いができない混載便は利用できない。

  • ※1 キャスター付きの鉄製ボックスを使って荷物を運ぶ、企業向けの共同輸送サービス。

「JITBOX」採用でCO₂排出量69%削減

そこで企業向け共同輸送サービス「JITBOX」を2025年10月から採用することを決めた。「JITBOX」は混載便の一種だが、キャスター付鉄製の専用ボックスに荷物を載せて運ぶため、水質分析計の破損を防止し、簡易梱包で済むからだ。チャーター便と同じく納品時間帯を設定でき、専用ウェブ上で手続きするなど手配の手間も大幅に軽減した。
チャーター便で生じていたムダを省き、コストの大幅削減に結び付くだけでなく、「JITBOX」採用により、CO₂削減などサステナビリティにも寄与する。チャーター便と「JITBOX」を比較すると、荷物1個当たりのCO₂排出量は実に69%も削減※2した。簡易梱包のため、廃棄物も減る。つまり、効率化を進めることはサステナブルになる。「JITBOX」の採用はチャーター便という固定概念を覆し、サステナビリティにも貢献できることを証明したともいえる。

  • ※2 2024年度の輸送距離実績より、4トン車チャーター便の場合は積載率10%未満として算定、JITBOXの場合は4トン車混載で集配(積載率70%)と、10トン車幹線輸送(積載率80%)として算定。

今後は「JITBOX」の活用を、水質分析計以外や他部署にも広げる予定で、社内システムから同部に手配依頼できる仕組みも整えている。ロジスティックスチームではサステナブルな物流の第一歩とも捉えており「地球にやさしい届け方」を追求し続ける。

左から順に
 TRENG メカトロファインテック事業本部 物流担当 久世 誠
 TRENG 調達部門 物流担当 後藤 聡寿

繰り返し使える輸送容器で梱包材を大幅削減

物流における梱包作業の改善でサステナビリティに貢献するのは、半導体検査装置を手掛ける東レエンジニアリング先端半導体MIテクノロジー(株)(以下TRENGMI)の製造部門製造1部製造・フィールドサービスG製造Tだ。
TRENGMIは従来、装置製作メーカーから瀬田工場(滋賀県大津市)までの装置部品の輸送にプラスチック製段ボール(プラダン)を使用していた。しかし、開梱作業に手間暇がかかり、大量の緩衝材をプラダンとともに廃棄しなければならなかった。「ムダが多い。作業を簡略できないか」と現場で考え、通いコンテナ(繰り返し使用される輸送容器)への切り替えを提案し、2024年末から実施した。
従来は2人の開梱作業で2時間を要した。プラダンは強度不足を補うため部材の個別梱包を行っており、作業負荷が大きかった。一方、通いコンテナはプラダンに比べてコンパクトながら強度が高く、輸送時の保護性能にも優れる。切り替えた結果、梱包材や緩衝材の使用量は約80%削減し、ほぼ不要な状態になった。また、従来はプラダン内に複数部材をまとめて収納していたため、部材の所在が分かりにくくなることもあったが、仕切り付きの通いコンテナへ切り替えたことで管理性も向上した。

当たり前と思われる作業にメス入れる

もともと、梱包基準がなく、装置製作メーカー側はプラダンに緩衝材を詰めて出荷すればよかった。こうした「当たり前と思われる作業にメスを入れる」ため、TRENGMIは基準を作り、搬入状態の写真共有や実物を使って説明。装置製作メーカー側の梱包にメリットがある点を示したことで、スムーズに受け入れられた。こうした取り組みにより、年間約1㌧の梱包材削減を達成。通常廃棄されるプラダンや緩衝材の使用量削減によって、廃棄時に発生するCO₂排出量も年間821㌔※3減らした。

  • ※3 環境省の排出原単位データベースVer.3.5より廃プラスチック類0.821tCO2e/tを使用。

開梱作業の簡略化は、環境負荷低減はもちろん、作業者の負担軽減にもつながっている。現在は装置部品が中心だが、今後はパソコンや装置カバーなど他の物品にも対象を広げ、さらなる梱包作業の省力化と梱包材削減を目指す考えだ。

左から順に
 TRENGMI 製造担当 西島 裕貴
 TRENGMI 製造担当 崎田 陽月

東レエンジニアリンググループは、これからもお客様に提供する先端技術や製品を通じて世界的な課題解決を実現する「サステナブル・エンジニアリング」を推進していきます。