TSコータが実現する、材料ロス削減と高生産性を両立した液晶カラーフィルター製造

TSコータが実現する、材料ロス削減と高生産性を両立した液晶カラーフィルター製造

液晶カラーフィルター製造を支える「TSコータ」

東レエンジニアリング㈱ 第一事業部(以下TRENG)の高精度枚葉塗布装置「TSコータ(TORAY Slit-nozzle Coater)」は、液晶カラーフィルターの製造に欠かせない存在として認知されている。2003年から韓国・台湾・中国向けに販売を開始し、累計販売台数は800台以上。液晶モニター、液晶テレビの80%が「TSコータ」で生産されており、圧倒的な占有率を持つ。それは「TSコータ」が顧客ニーズに合致する製品を開発・販売してきたからだ。その一つに、品種の切り替えロスを削減するジョブ・チェンジ機構の搭載がある。実はこの機構の搭載によって「TSコータ」はサステナビリティにも貢献している。

TRENG 第一事業部 製造担当 中井 英幸
TRENG 第一事業部 製造担当 中井 英幸

多品種化に伴う切り替えが課題

液晶カラーフィルターは、薄いガラス基板にカラーレジスト(色材をベースとしたインキ)を塗布して製造する。その工程を担うのがコータ装置だが、用途拡大に伴い、納入先では多品種を生産しており、品種切り替えが非常に多い。液晶カラーフィルターはテレビ、パソコン、スマートフォン、カーナビなどさまざまな分野に使用されるが、最終製品によって求められる性能が異なり、カラーレジストの種類にもそれぞれ違いがあるからだ。このため、最終製品に合わせてコータ装置は通常、1日数回の品種切り替えが行われる。
その品種切り替えの際にはタンク、ポンプ、配管、ノズルに残っているカラーレジストをすべて排出しなければならないことが課題だ。排出するカラーレジストの残量はG8.5サイズ(ガラスサイズ2,200㍉×2,500㍉)で、1回当たり約3.7㍑。しかも、カラーレジスト排出後も洗浄液(4~6㍑)を用いて、コータ装置内の洗浄が必要になる。カラーレジストが残っていると、次のカラーレジストと混ざったり、ゲル化してしまうからだ。洗浄作業だけでも約1時間かかり、その後にようやく次の品種用のカラーレジストの充填が行われる。

カラーレジスト・洗浄液の消費を削減し、歩留まりも改善

これではカラーレジストや洗浄液のムダが多いだけでなく、切り替え作業には数時間かかるため、その間は生産を停止しなければならない。この切り替え作業を削減できれば、カラーレジストなどの材料費の削減はもちろん、歩留まり向上(カラーレジストの液残りに起因する不良発生の防止)、長期安定運転(生産停止時間の削減)、そして切り替え作業運転のエネルギー消費量の削減に結びつく。
第一事業部では切り替えロスを削減するため、「TSコータ」にジョブ・チェンジ機構を組み込んだ。通常は1ポンプのコータ装置に、ポンプをもう1台増設するとともに、フォトレジストサプライユニットを追加した。これによって切り替え時はノズルだけを洗浄すれば済むようにし、塗布液、洗浄液の使用量の大幅な削減を実現した(カラーレジストや洗浄液は納入先の条件によって異なる)。ジョブ・チェンジ機構は装置納入後の追加改造も可能で、サステナビリティに貢献する取り組みとして評価され、多くの追加注文を獲得している。

技術の蓄積が支える、次世代の製造プロセス

TRENGでは、社会や産業の変化を見据えた製品づくりに取り組んできた。液晶カラーフィルター製造装置で培った大型基板の塗布・搬送技術は、分野を超えて活用されており、近年では太陽電池や半導体先端パッケージ分野におけるパネルレベルパッケージ(PLP)向け装置へと展開を広げ、顧客ニーズに応えるものづくりを推進している。

左から順に
 TRENG 第一事業部 営業担当 小西 宏和
 TRENG 第一事業部 設計担当 田中 雄也

東レエンジニアリンググループは、これからもお客様に提供する先端技術や製品を通じて世界的な課題解決を実現する「サステナブル・エンジニアリング」を推進していきます。