トラックの待ち時間を大幅削減、CO₂削減や働き方改革に貢献

トラックの待ち時間を大幅削減、CO₂削減や働き方改革に貢献

東レエンジニアリングDソリューションズ㈱(以下TRENGD)の「TONOPS® バース予約システム」は物流現場でトラックの待ち時間を大幅に削減することでCO₂を削減するなど環境問題に貢献する。さらにドライバーの働き方改革や荷主企業のコンプライアンス順守などにも結び付く。

「TONOPS® バース予約システム」は物流倉庫や工場などでトラックが荷物の積み下ろしを行うバース(荷捌き場)の利用を事前に予約するもの。TRENGD、東レ㈱(以下 東レ)、東レグループの物流企業である東洋運輸㈱(以下 東洋運輸)などで共同開発した。

新法施行で迫る物流改革

キッカケは2025年4月に施行された働き方関連法の一つである改正物流効率化法(新・物効法)。トラックドライバーの時間外労働が制限され、物流業界では輸送力の低下やコスト増加が懸念され、これらを解決する上で、荷主企業にもトラックの荷待ち・荷役時間の短縮が求められた。東レの購買・物流部門から相談があり、TRENGDは開発に着手した。

「TONOPS® バース予約システム」で荷待ち問題を解決

TRENGDは東レの各工場向けに生産管理システムや工程管理システムの開発・販売を主に行ってきたが、東レの物流システムの構築は初めて。東洋運輸と連携しながら、3カ月で完成させた。開発を担ったシステム技術本部事業企画室の大坂 開氏は「全く初めてのシステムであったことから、一からヒアリングし、東洋運輸の現場にも行って実態を把握しながら作り上げた」と語る。

TRENGDシステム技術本部事業企画室・大坂 開
TRENGDシステム技術本部事業企画室・大坂 開

従来はトラックの入場順が分からないため、トラックが工場に到着してから出荷準備していた。そうなると出荷準備の間はトラックが待機する時間となる。トラックの入場が集中すると待機時間はさらに増え、出荷バースも混雑して積み込みが非効率になる。

「TONOPS® バース予約システム」はこれらを解消する。事前に車両入場順を把握できるため、倉庫作業員は事前に出荷準備ができる。到着・受付情報も作業者とタブレットで共有し、待ち時間なく出荷ヤードに案内し、すぐに積み込みを始められる。バースの混雑も解消できるため、積み込みが効率化する。

車両分散で混雑解消、効率化を実現

導入することで、車両の入場時間が分散し、出荷準備・積み込み業務の効率が向上することで、入場・受付業務の効率も高まる。同社の調査によると、トラックの平均待機時間は導入前が1車当たり56分だったものが、導入後は15分になるなど70%以上も削減できる効果があった。これはトラックのアイドリングストップによる燃料消費の抑制でCO₂の削減や排気ガス削減に大きく寄与するなど環境問題に貢献する。もちろん、ドライバーの働き方改革にも結び付き、荷主企業である東レのコンプライアンス順守にもなる。

システム開発に際してはドライバーの使いやすさを考慮。余分な機能を付けずにシンプルで簡単に操作できることを重視するなど、現場に即したシステム構築に注力した。

「TONOPS® バース予約システム」は現在、東レの5工場に導入されているが、「さらに導入拠点を広げていきたい」と大坂氏は言う。

東レグループの知見を活かし、幅広い業界へ物流DXソリューションを展開

東レの各工場は荷物の内容や物量の内容の違いや動線など違いがある。このため、それぞれに対応した開発を進める。同時に東洋運輸が物流のDX化に取り組んでおり、バース予約システム以外にもさまざまな課題がある。工場の入出荷、配送計画、倉庫の在庫管理はじめ、TRENGDでは東洋運輸と共同でシステム開発を進め、物流DX化に取り組む。さらに、東レの各工場だけでなく、他企業にも物流DX化によるソリューション提案を広げていきたい考えだ。

東レエンジニアリンググループは、これからもお客様に提供する先端技術や製品を通じて世界的な課題解決を実現する「サステナブル・エンジニアリング」を推進していきます。