2022年3月3日

半導体回路検査で世界最高水準の速度と精度を実現した
電子線式半導体ウエハーパターン検査装置「NGR®5500」が登場

東レエンジニアリング株式会社(本社:東京都中央区、社長:岩出 卓、以下「東レエンジ」)の子会社TASMIT株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:佐藤 謙二、以下「TASMIT」)は、半導体の回路検査において世界最高水準の速度と精度を実現した電子線式半導体ウエハーパターン検査装置「NGR®」を開発し、4月から本格販売を開始します。
高性能化に向けて多層化が進むNANDメモリー半導体や、微細化が進むDRAMメモリー半導体およびロジック半導体のメーカー向けに展開し、製造工程の効率化に貢献します。販売目標は2022年度に50億円、2025年度に70億円です。

電子線式半導体ウエハーパターン検査装置NGR®シリーズは、半導体製造工程において回路の設計パターンと実際に転写した回路の差異を、電子顕微鏡画像を使用して計測する装置です。独自の装置設計技術により、広視野で歪が少ない画像の取得が可能であることから、精度の高い検査をスピーディーに実施でき、工程の調整が早期に可能となることで製造効率の向上を実現できる点が高く評価されています。

現在、半導体デバイスの性能向上に向け、積層回路の高層化とともに回路の微細化が進んでいます。層間で回路をつなげるために設ける穴(メモリーホール)や溝(トレンチ)は、積層数の増加に伴い深化が進んでおり、これらの底部分までの形状検査を高精度に行うことが求められています。さらに、微細化する回路の位置合わせの精度向上に向けて、ナノレベルでの検査を高効率に行うことが求められています。
現在、主流となっている96~128層クラスの半導体デバイス向けの検査装置の展開はこれまでもありましたが、さらなる高性能化に向けて開発・量産が検討されている150層クラス以降の高性能NANDメモリー半導体用途や、更なる微細化が進むDRAMメモリー半導体およびロジック半導体用途の検査には、精度と速度の点で幅広く対応できる装置の展開は限られていました。

この課題に対して、TASMITは独自の電子線制御技術、レンズ電極の最適化技術、 超高真空および高耐圧の技術を駆使して、半導体検査用途の電子線顕微鏡に使用する電子の加速電圧を世界で初めて50kVにまで高めることに成功しました。加速電圧を上げることで解像度の高い画像を取得することが可能になります。これにより現在開発が進んでいる150層クラス以降のNANDメモリー半導体の検査や、幅が数ナノレベルの回路の検査を高い精度で実施することができます。加えてNGR®シリーズの特長である広視野と歪の少ない画像取得ができる性能をいかした高速検査も実現しています。

今後も東レエンジニアリンググループは、最先端の検査技術の追求により、当社の持つテクノロジー、エンジニアリング技術、ノウハウを駆使したソリューションの提案により、社会に貢献してまいります。
今回、発売する「NGR®5500」の詳細は以下の通りです。

商品名
NGR®5500
製品特長
  • 広視野で低歪の画像取得による高速検査
  • 取得画像と設計データを高精度に比較して検査・計測を行うDie to Databaseアプリケーション
  • 世界最高クラスの高加速電子線顕微鏡により取得した透過像を用いたオーバーレイ、HAR(High Aspect Ratio)構造パターンの検査・計測
展開用途
  • 開発段階におけるOPC*1最適化、Hot Spot*2の検出
  • 量産ラインにおけるHotSpotのモニタリング
販売目標
2022年度 50億円
2025年度 70億円

*1:Optical Proximity Correction(光学近接効果補正)
回路パターンの微細化にともなって発生しやすくなる光学近接効果による転写パターンの乱れに対して、あらかじめ乱れの発生を計算した補正を入れることで、コントロールする技術。

*2:Hot Spot
欠陥の起こりやすい個所

NGR®5500

NGR®5500

<ご参考>

TASMIT株式会社

(2022年4月1日に「東レエンジニアリング先端半導体MIテクノロジー株式会社」に社名変更)

本社所在地
神奈川県横浜市
設立
2000年7月
資本金
1億円
代表者
代表取締役社長 CEO 佐藤 謙二
事業内容
半導体向け検査機器の開発、製造、販売

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