2021年12月10日

AI技術を搭載した高効率マイクロLEDディスプレイ製造装置
「RAP-LLO」シリーズの本格販売開始

東レエンジニアリング(本社:東京都中央区、社長:岩出 卓、以下「東レエンジ」)は、この度、AI技術を搭載した高効率マイクロLEDディスプレイ製造装置「RAP-LLO」(ラップ エルエルオー)シリーズを開発し、12月から本格販売を開始します。
本機器は、マイクロLEDディスプレイ製造工程において効率化が望まれていた大量のマイクロLEDをディスプレイ基盤に設置する工程で使用するもので、従来品と比べ約10倍の生産性の向上を実現しています。
さらに独自開発したAI技術を応用した「チップマッピングアルゴリズム」を搭載しており、個々のマイクロLEDの発光傾向を判別し、ディスプレイ中での配置場所を最適化することで、ディスプレイの自然な発光・発色を実現する機能も備えています。
当社は「RAP-LLO」をマイクロLEDディスプレイメーカーへ提案し、2022年度に10億円、2025年度には50億円の受注高を目指します。

マイクロLEDディスプレイは、数十μm角の微小なLEDを使用したもので、バックライトが不要であることから消費電力が低く、また長寿命といった特長を持つ環境配慮型ディスプレイとして注目されています。さらにコントラスト比が高いことから、画像がはっきり見えるなどのメリットがあり、スマートフォンやウェアラブルデバイス、テレビなどディスプレイを持つあらゆる機器への展開が期待されています。

マイクロLEDディスプレイには膨大な数のLEDチップが必要となります。例えば、4Kテレビの場合、約25百万チップ(画素数3840×2160に各3色)が必要となります。その量産化に向けてはマイクロLEDの転写スピードの向上が不可欠であり、これまでにレーザーによる転写技術が開発され、一定の成果を上げてきました。一方で、部材となるマイクロLEDチップは、1~2%程度の欠陥があることがわかっています。仮に1%の場合、4Kテレビ製造時には約25万チップの欠陥となり、良品チップへの修復(リペア)は従来技術では日単位(約49時間)の時間を要してしまい、ディスプレイ量産のボトルネックとなっていました。
この課題に対して、当社グループの展開する外観検査装置を活用することで、1チップ毎の検査データを取得し、これを使用することで良品のマイクロLEDチップのみを選択しながらディスプレイ基盤へ高速(1万チップ/秒)に転写させる高速レーザー転写装置を開発しました。
さらに、チップ毎の発光輝度、波長のばらつきにより発生する映像ムラへの課題に対して、外観検査時にマイクロLEDの各個体の輝度や波長の微妙な個体差を把握し、独自開発したAI技術を応用した「チップマッピングアルゴリズム」により、ディスプレイ基盤全体の中でマイクロLEDチップの転写位置を自動でバランスさせることで、ディスプレイ全体として自然な発光・発色に調整する機能も備えています。
これらの特長をいかして、マイクロLEDディスプレイの量産化に貢献する装置として、幅広く提案してまいります。

当社は今回の「RAP-LLO」シリーズの展開を通じて、環境負荷の低いディスプレイの普及を促進することで、サスティナブルな社会の実現に貢献してまいります。
東レエンジは、テクノロジー、エンジニアリング技術、ノウハウを駆使してモノづくりにおけるあらゆる課題解決に向けたソリューションを提供します。

「RAP-LLO」シリーズの詳細は下記の通りです。

商品名
「RAP-LLO」(ラップ エルエルオー)シリーズ
製品特長
  • マイクロLED検査を工程に組み込むことによる欠陥マイクロLEDの置き換え時間の大幅短縮
  • AI技術「チップマッピングアルゴリズム」によるディスプレイ全体での自然な発光・発色
展開用途
マイクロLEDディスプレイ製造
受注目標
2022年度 10億円
2025年度 50億円

「RAP-LLO」シリーズ

「RAP-LLO」シリーズ

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