スリットコータによるウエーハへの塗布技術に関する発表
2019年11月5日
総務部広報宣伝課
東レエンジニアリング株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:岩出 卓)は、スリットコータによるウエーハ等の円形に塗布する基本技術の開発が完了するとともに、お客様のご要望に応じた塗布テスト、最大12インチウエーハのサンプル試作が可能な設備が完成しましたのでお知らせいたします。
スリットコータによるウエーハへの塗布技術について
当社主力商品である液晶カラーフィルター用スリットコータは、G2から世界最大のG10.5サイズを販売している唯一の会社で、上市以来累計700台を超えるスリットコータを国内外のお客様に納入しており、業界トップクラスの実績を誇っています。当社は、このスリットコータを、主として、今後拡大が見込まれる半導体分野に展開するべく、このたび新たなスリットコータおよび塗布技術を開発しました。
この新たなスリットコータは、塗布液を吐出するスリットノズルと塗布対象の基板(ウエーハ、ガラスなど)の間に形成される液溜りに作用する液の表面張力や、塗布中に作用するせん断力等を利用しながら、独自技術によって、円形などの形状に倣って、液がウエーハ裏面に付着することなく、均一に塗布する画期的なスリットコータです。
本スリットコーターの主な特徴は、以下の通りです。
- 円形を含む様々な形状、凹凸部を有する基板に塗布できます。
- 塗布する液が基板からはみ出ることがなく、エッジリンス、バックリンスが基本的に不要です。
- 幅広い粘度範囲(1~10,000mPa・s)に対応可能です。
- 幅広い膜厚(Wet1~数十μm)の塗布が可能です。
- 既存のスピンコータと比較し、液の使用効率が圧倒的に高い(*別表ご参照)。
今後について
当社は、この新たに開発したスリットコータを半導体分野を筆頭に、様々な分野へ展開することを目指しています。従来のスピンコータ、スプレーコータ、ロールコータなどからのプロセス変更ニーズを掘り起こし、新たな生産プロセスをお客様とともに構築していきたいと考えています。
そのため、当社瀬田事業場内に塗布テスト設備を新たに設置し、お客様の生産プロセスに展開できる可能性をお客様とともに検証、実証しながら、商業生産に適用できる技術確立を目指していきます。
初年度は、半導体分野、各種センサー分野に対して、スリットコータ単体で数台の販売を計画し、2年後には十数台の販売体制を整えるとともに、液晶カラーフィルター製造ラインで培った総合力で、周辺設備を含め、30億円以上の事業規模を目指して参ります。




<東レエンジニアリング株式会社について>
1960年に東レ株式会社より分離独立した総合エンジニアリング会社として設立。国内外の東レグループのプラント建設に始まったが、大型プラント建設から液晶・半導体製造・検査装置、さらに電池製造設備まで、“エンジニアリングとものづくり”をあわせ持つ技術力で、高度化・多様化するお客様のニーズに最適なソリューションを提供します。