第三者意見

吉村 孝史

吉村 孝史

NPO法人 大阪環境カウンセラー協会 副理事長
兵家(ひょうげ)しだれ桜保存会 副会長
大学講師等(近畿大学、大阪産業大学、鳥取環境大学等)
JRCA登録 EMS主任審査員(2015年版)
エコアクション21審査員(2017年版)

創立60周年を迎える東レエンジニアリング(株)のCSRレポートの第三者意見を述べるにあたり、ペンをとります。創立60周年は還暦でいわれるように、締めくくりではなく、新しい始まりです。これまでの取り組みで、何をやめて、何を残すか、その決断により次の世代が決まります。

CSRの考え方は、東レエンジニアリング(株)の中で、育ってきました。CSRはすぐに利益に結びつくと見えないだけに、なかなかその持続が難しいものであります。しかし、ここまで育ってきました。週刊東洋経済による2019年版CSR企業ランキングにおいて、東レエンジニアリング(株)は未上場企業中8位にランクされました(2018年度は9位)。また、CSR検定の結果合格者38名(1級1名、2級2名含む)です。これらは東レグループのなかではNo.1であるだけでなく、上場会社を含めてもよく取り組んでいる結果となっています。

東レエンジニアリング(株)では、企業理念に基づく「新しい価値の創造」とCSR推進において広く普及している「ガバナンス」「社会」「環境」のカテゴリーのもと、10項目からなるCSRガイドラインを策定、最終年度を中期経営課題に合わせ2020年度としたロードマップで、CSRの取り組みを集大成しています。このCSRレポートはその内容を単なる数字の羅列でなく、分かりやすく、訴求力をもって記述しています。項目ごとの推進責任者の考え方をはっきりさせ、社員の声を「VOICE」で力強く伝えています。例えば、男性社員の育児休暇取得、CSR調達アンケートの説明会、韓国TEK(株)の社会貢献活動などが注目されます。

そして、項目ごとに評価されていますが、厳しい内容も含めて表記し、その内容と対応をきっちり記述しています。その事例は「安全管理レベル」労働災害休業度数率ですが、0.05以下に対し0.62となり評価は×となっています。この事項に対し、担当部門長が「VOICE」で「安全成績が非常に残念な結果になっていると反省し、トータルゼロ災必達を決意」しています。報告書ではあまり触れたくないことかもしれませんが、これは報告書の内容に重みを持たせています。「国内の特許出願数130件に対し96件」「障がい者雇用率2.2%に対し2.1%」はともに△となっていますが、今後に期待が持てます。達成しやすい目標でなく挑戦しうる目標になっていることが大切です。

社内コミュニケーションについて、経営トップと社員との直接コミュニケーション、社員間のコミュニケーションといろいろ取り組まれていますが、年4回発行される社内報「engine」は評価されます。2019年度版から、ナンバーワン・オンリーワンの当社製品を作り上げてきたエンジニアを「現場の匠」として取り上げ、世の中のプロフェッショナル重視の流れとマッチして大きな反響を呼びました。

特筆すべきは「事業を通じた社会的課題への貢献」の6事例です。いずれも、成果を上げたものですが、例えば「EV用リチウムイオン電池製造塗工設備」についてみると、増大するEV需要に対応するとともに、安全で効率のよいリチウムイオン電池の量産に貢献し、SDGsへの貢献にもつながって、しかも東レエンジニアリング(株)の経営にも寄与しています。

このような、CSRの流れをこれからも広げていってほしいものです。世間では盛んにSDGsといわれていますが、東レエンジニアリング(株)はCSRの中ですでに取り組んできました。SDGsはこれから2030年までは続きます。東レエンジニアリング(株)はそのSDGsを先んじて続けてきたということです。

VOICE第三者意見を受けて

吉村様には、試行錯誤の初版レポートの発行当初からかかわっていただき、今日まで多くのご助言・ご指導を賜りましたこと、誠にありがとうございます。

また、今回は第三者意見におきまして、東レエンジニアリング(株)の取り組みに対するご評価をいただき、重ねて厚く御礼申し上げます。吉村様の崇高なご助言・ご指導により、さまざまなステークホルダーを意識し、世界標準のゴールも視野に入れた取り組みとなり、着実にレベルアップをはかることができてきたものと思っております。

とはいえ、東レエンジニアリンググループの取り組みには、まだまだ深化させるべき課題も多く、創立60周年を新しい始まりとして、今後のあるべき姿を少し記載させていただきます。

昨年7月より新経営体制となり「新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」をより具現化し、お客様・株主・従業員などのステークホルダーに貢献し続ける高い存在価値の企業連合を目指すことを掲げて、CSRとともに、事業を通じて社会的な課題解決に貢献し、「社会価値」と「企業価値」を両立させる考え方CSV(Creating Shared Value)を実践することを表明しました。

東レエンジニアリンググループの従業員一人ひとりがこのCSVをより意識し、ものづくり技術や施工技術(Technology)、工学(Engineering)、ノウハウ(Know-how)を駆使して、お客様と共に価値創造し、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献を果たしていく必要があります。

最後になりますが、東レエンジニアリンググループではさまざまなステークホルダーの皆様と共に、持続可能な社会への実現へ引続き取り組みを深化させていきますので、倍旧のお力添えをよろしくお願い申し上げます。

松田 雅一

松田 雅一
(CSRストラテジスト)

東レエンジニアリング株式会社
常務取締役 CSR全般統括