第三者意見

吉村 孝史

吉村 孝史

NPO法人大阪環境カウンセラー協会 副理事長
兵家(ひょうげ)しだれ桜保存会 副会長
大学講師等(近畿大学、大阪産業大学、鳥取環境大学等)
CEAR登録 環境主任審査員(2015年版)
エコアクション21審査員(2017年版)

東レエンジニアリング(株)の創立60周年の節目となる2020年を見据えて、東レエンジニアリング(株)は「エンジニアリング」と「ものづくり」を経営コンセプトに掲げ、「TOP-2020」プロジェクトや「60周年プロジェクトチーム」などをスタートさせ、グローバル事業推進室や欧州における活動の構築に向けての取り組み、AIやビッグデータを東レエンジニアリング(株)の新たな事業競争力の源とすべき取り組みなど、開発重視で未来を見つめる「東レエンジニアリング」を力強く訴えていることが実感できます。プラント業界の専門雑誌『エンジニアリング・ネットワーク』誌(ENN)を私も読みましたが、このような東レエンジニアリング(株)の動きを評価し、取り上げています。

今回のトップメッセ―ジで、東レエンジニアリング(株)は「正しいことを、正しくやる、強い心」を持って、企業としての社会的責任を果たすと表明しているのは、「CSRを基本とした企業経営」を中期経営課題の中期経営課題の基本方針の第一に掲げていることの表れです。昨今、経済界ではSDGs(持続可能な開発目標)が問いかけられていますが、このSDGs対応は「義務」ではなく、「戦略」であると考えます。その観点から、「事業が成長し、市場シェアを高めるほど、世界がより良くなる」経営を実現していくことにつながるのです。つまり、社会価値創出が経済価値創出と同等に、企業活動において重要な時代がやってきたということです。世界共通言語であるSDGsは、企業の社会課題解決と成長戦略を一体化させているといえます。CSRレポートは、企業のこの取り組みを世の中に知らせるものです。

今回特筆すべき点は、まず「新しい価値の創造」の指標として、特許保有件数と特許出願件数を取り上げていること。知的財産部を開発部門に置くことにより、開発と直結した特許戦略の推進など、価値の指標化は難しく、工夫が要り、その推進が課題であるだけに評価できます。ただし、当年度実績だけでなく、前年分および当年目標も併記してほしいものです。

次に、TPM活動における総務部の女性の活躍。社内コミュニケーションの改革の取り組みの事例ですが、第31回TPMレディース大会において、「イキイキ挨拶100%を目指して」というタイトルで発表し、モデルとなる活動として「活用のきらめき賞」を受賞しました。時宜を得たタイムリーな活動と評価できます。

そして、海外教育派遣。米国のエンジニアリング会社への出向しての取り組みはグローバル人材育成の好事例です。海外での違いを拒絶せずに受け入れ、自ら行動することを身をもって体得できたことは重要です。

なお、環境保全対策について、温室効果ガス排出抑制や廃棄物削減に、高効率エアコンへの置き換え、照明のLED化、リサイクル率の向上など、幅広く取り組んでいることは理解できますが、その温室効果ガスについて、太陽光発電量・使用電力量等のデータは表示されていますが、発電量も排出量もCO2tで表示して、比較して見るべきです。パリ協定以降、企業の気候変動への対応がより注目され、気候変動アクションを起こした企業がより選好される時代がすでに始まっているのです。

最後に関係会社の取り組みが紹介されています。連結対象として重要なことですが、各社の内容は取り組みの紹介に終わっています。新年度から東レエンジニアリンググループ会社として、新社名になるのに伴い、所在地や人員などの主要数値を合わせて表示する必要があります。

VOICE第三者意見を受けて

吉村様には、これまでのご助言ご指導とともにCSRレポートの第三者意見での評価ご提言に対し、深く御礼申し上げます。思えば、試行錯誤の初版レポートの発行から今年は3年目を迎え、さまざまなステークホルダーを意識し、世界標準のゴールも視野に入れた取り組みへ、着実にレベルアップをはかりながら深化させることができてきましたことに、改めて感謝申し上げます。

さて、東レエンジニアリング(株)のCSRへの取り組みにまだまだ至らなさがあることは確かであり、吉村様第三者意見でのご指摘を受けて、今後への展望を少し記載させていただきます。

まずは、東レエンジニアリング(株)の環境保全対策について考えた場合、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを念頭に、エンジニアリング会社特有の指標となるKPIを検討・追加するなど、より積極的な仕掛けが必要であると感じています。

また、連結関係会社についてのご意見を頂戴しました。「東レエンジニアリング」を冠に持つ社名変更もあって、より一層CSRの強化を図ってまいりますが、本レポートでの活動報告へ、次年度以降に具体化させたいと思います。ありがとうございました。

最後になりますが、東レエンジニアリンググループが「CSRを基本とした企業経営」を実践・深化させるべく、今後ますますのお力添えをお願い申し上げます。

松田 雅一

松田 雅一
東レエンジニアリング株式会社
取締役 CSR全般統括