第三者意見

吉村 孝史

吉村 孝史

NPO法人大阪環境カウンセラー協会副理事長、 地球環境関西フォーラム戦略部会委員、 大学講師等(近畿大学、大阪産業大学、鳥取環境大学等)、 CEAR登録環境主任審査員(2015年版)、 兵家(ひょうげ)しだれ桜保存会副会長

環境問題や社会の不平等など地球レベルで、深刻化するさまざまな課題への対処では世界の協調が強く求められています。国連が2015年に採択した「2030年を目指した持続可能な開発目標(SDGs)」実現には企業の参画が不可欠です。以前からこうした計画は策定されてきましたが、国情や思惑の違いを超え、未来のため連帯すべきというこれほど強いメッセージは、おそらく初めてのことといわれています。東レエンジニアリング(株)の主要事業場のある関西地域においては、2025年万博誘致にも資する、持続的な経済社会の実現を目指しSDGsの取り組みが加速しています。
当レポートのトップメッセージでは、当社においては「エンジニアリング」と「ものづくり」を通じて持続可能な社会の実現に貢献することこそが最も重要なSDGs経営課題であると考え、ものづくりに関わる革新的技術・革新的設備/装置を提供し、社会課題解決を目指すとされているのは、まさに時宜を得たものといえます。
東レ(株)の先般の株主総会の資料では、「環境・エンジニアリング事業」がはっきり位置づけられ、売上高と営業利益ともに存在感を示しています。そして、エンジニアリング会社では産業機器やエレクトロニクス関連機器が好調でしたと記されています。当社の業績が東レグループへの業績貢献を評価され、2014年度から3年連続の増収・増益を達成し、東レ社長賞を受賞した際、働く従業員の皆さんへの『感謝の集い』が開催されたのはすばらしいことです。
また、リチウムイオン電池製造設備や液晶パネル製造関連設備などの中国への輸出が活況なことなど一層の海外展開が期待されます。
なお、残念なことですが、2017年に、東レグループ企業において検査データを書き換えする事案が発生しました。当社では、すでに2016年より全社横断の社長直轄組織である製品安全・品質統括室を立ち上げて品質保証の推進に取り組んでいます。この件を、トップメッセ―ジで取り上げられていることは評価できます。
最後に、当CSRレポートのベースになる社内報「engine」を拝見しましたが、その中に漢方最大手の(株)ツムラ様の取材記事がありました。漢方薬製造の重要プロセス設備の納入先ですが、「挨拶など当たり前にできていないことを、当たり前にする」というエピソードに惹かれました。そこにCSRの原点があると思います。

VOICE第三者意見を受けて

吉村様には、昨年に引き続きCSRレポート2018の発刊に至るまで多大なるご指導を賜り、またこの第三者意見におけるご意見・ご提言に、改めて感謝申し上げます。
今回のレポート発行においては、世間一般で話題となっている「財務情報」との「統合報告」へ向かうのか、将来を見据えて経営メンバーで議論の末、敢えて統合報告とはせずWEBでのレポートを主体に、冊子はダイジェスト版として発行いたしました。成果物としてのボリュームのある合冊の冊子を目指すよりは、事業活動において「CSRを基本とした企業経営」を基本方針とする取り組みを通じて事業運営にあたっている状況を、WEBを通じてご理解いただくことを選択したものです。
また、今回のレポートは、吉村様も触れられておられます、国連採択の「2030年を目指した持続可能な開発目標(SDGs)」に対し、その実現に向けて当社としてどう貢献していくのか、関係性を意識し、事業・製品におけるその「ミッション」と「価値」を明確にいたしました。地球規模の目標に対して、「エンジニアリング」と「ものづくり」を経営のコンセプトに掲げる企業として、当社がどのようにかかわっていくのかを具体的に明示できたことには、大きな意義があったものと思います。
とはいえ、残念ながらCSRロードマップの実行計画・状況を見れば、まだまだ未熟なところも多くあり、成果・プロセスのKPIをステークホルダーの期待に応えるものに深化・発展させる取り組みがさらに必要であることを痛感しております。CSRの取り組みにおいては、一つひとつのことが当たり前にできていないことを、当たり前にしていく、吉村様が「挨拶」のエピソードを通じて当社にいただいたメッセージかとも思います。
最後に、引き続きCSRの取り組みを進化発展させ、情報発信を継続してまいりますが、東レエンジニアリンググループが「CSRを通じた企業経営」を当たり前に持続・深化させるべく今後とも活動を進めたく、倍旧のご支援ご指導をお願い申し上げます。

松田 雅一

松田 雅一
東レエンジニアリング株式会社
取締役 CSR全般統括